ジャガールクルトはレベルソ、マスターという二つのシリーズが有名ですが、もうひとつの顔、それがATMOS(アトモス)置時計です。
1928年に製作され、現在に至ってます。その動力は空気です。アトモスは空気の温度差によって動きつづけます。後ろに丸型のタンクカプセルが取り付けられ、カプセル内にはガスが注入されてます。そのカプセルが温度差を感知し、上下にアコーディオンのごとく膨張、縮小を繰り返します。この動きがゼンマイを巻き上げる仕組みになってるんですね。
摂氏15℃から30℃の間に1℃でも温度変化が生じれば二日間動きます。たった1℃の温度変化という、わずかなエネルギーでその動きは永遠に繰り返し、永久時計と呼ばれる所以でもあります。
 

後の丸いのがタンクです・・   

さて、このアトモス現在では三越、銀座和光あたりで販売されてますが、ダイヤルの趣きが現行の物とは違います。一般にダイヤル内はアラビア数字(1,2,3・・)が使用されてます。
このアトモスはご覧の通りローマ数字(T.U.V・・・)があしらわれ、個人的には品があって好みではあります。このタイプは見かけた事がなく、おそらく数も少ないのではないかと、勝手に思ってますが・・・
アトモスは正確な時間を刻むためには、必ず水平に置かなくてはなりません。枠組み土台が真鍮のため重さも5kgあり、土台前方には水平差を測るよう丸穴が取り付けられおります。
下にぶら下がっているのが振り子で時計で言えばテンプに当たる部分ですね。一分間に一往復をゆっくりとしたリズムで繰り返し回っています。30年以上経った我がアトモスは、時間もかなり正確で日差数秒程度で動いてます。
通常の時計と違い、数年に一回オーバーホールが必要というものではなく、ガス抜けが一番多いようですが、だいたい5万〜で直るようです。(日本デスコ確認)。
実はもう一つ、最初期のアトモスも所有しているのですが、このアトモス、シリアルナンバー4桁で、滅多に市場には出ないらしく海外のコレクター間でも$3,000〜$5,000(状態によりますが・・・)ぐらいで取引されてるようです。今は手元にありません。現在はスイスのジャガールクルト本社にてオーバーホール中ですう・・・日本デスコに持ち込んだら、古いためスイスに送還されました。。出来上がり間で半年ぐらいとの事です。無事帰還しましたら、アップしたいと思います。。

水平差をこの丸穴から確認します・・   

機械は案外簡素ですね・・